まなざしの建築

自身の存在を意識させる対他存在
氏名
小口真由
所属
日本女子大学大学院
家政学研究科 住居学専攻
研究室
宮晶子研究室
作品概要

現代社会では深刻な孤独が社会問題となっている。この問題は周囲との関わりの希薄さによる孤独感だけでなく、「私は今ここにいる」と自分自身の存在を意識することが出来なくなることによる、身体と意識の結びつきから生じる充実感や幸福感の不足も関係している。これらの問題に対して、建築の視点で自己の存在に意識を向ける為に何が可能なのか、サルトルの存在論を取り入れて研究を行った。空間に対する感情移入を通じて自己の存在を想像し、自分に向けた自らのまなざしが生じることで、ひとり対他存在を生み出す仮説を立てた。また、中心視野と中間周辺視野が捉えるものの差による感情移入の影響を研究し、視野と建築、まなざしの相互関係を明らかにした。これらの分析で導かれた設計手法を用いて、建築に身を置いたときに、他者や、他者がいてもいなくても自分からのまなざしを感じ、自身の存在に意識を向けることができる建築を提案する。壁や中庭に集まる自らのまなざしは、他者にとってもまなざしとなり、建築を通じて広く重なり合う。
このような建築での経験によって、自己の存在に対する意識が高まり、身体と意識が結びつく充実感や幸福感が得られる社会の構築に寄与できると考える。

作品イメージ

Profile

略歴

2022年 日本女子大学 家政学部 住居学科 居住環境デザイン専攻卒業

2024年 日本女子大学大学院 家政学研究科 住居学専攻修了