暮らしを紡ぎ、町を繕う

- 伝統的建造物保存地区における暮らしを核としたまちづくりの提案 -
氏名
福屋亮平
所属
日本大学大学院
生産工学研究科 建築工学専攻
研究室
廣田研究室
作品概要

伝統的建造物群保存地区に選定された山口県柳井市白壁の町並み。室町時代の地割りが残り、石積み水路が密集した家屋の隙間を流れ伝建地区の軸線を示す。軒の揃った白壁の商家が整然と建ち並び、かつての商業都市を想起させる。一方で、高齢化による商業離れや世帯数・人口の減少から空き空間が多く点在し、商業都市として栄えた町の賑わいは失われつつある。また、管理しきれない密集した空き家・倉庫は解体され、伝建地区内の空洞化が進行している。
そこで、地区内に存在する町の遺構や伝統家屋、空き家、空き倉庫、空地を等しく扱い、密度の高い歴史空間を保持しながら新たな町の居場所へと転換する。白壁の町に散らばる58の暮らしの風景を採取し言語化することで、町を構成する空間モデルを抽出する。それら複数の要素を組み合せ、既存建築に落とし込むことで町の再編を行う。これは解体ではなく白壁の要素を紡ぎながら町を繕う新たな継承の提案である。暮らしの風景をなぞった再編手法は、どこか懐かしく新しい暮らしを創出する。住民やその集合のコミュニティが伝統的建造物や居住様式と共存しながら現代的変容に即して利用され、何世代に渡り住み続けることができる持続可能な町づくりを目指す。

作品イメージ

Profile

略歴

山口県出身

2022年 日本大学生産工学部建築工学科 卒業

2024年 日本大学大学院生産工学研究科建築工学専攻 修了