雨水調整機能をもつ地域共同体施設の設計

- 墨田区京島地区の路地尊システムに着目して -
氏名
榎本海月
所属
日本大学大学院
理工学研究科 建築学専攻
研究室
山中研究室(今村研究室)
作品概要

地域共同体は、住民が助け合って生活を営む基盤であるとともに、災害発生時における地域の安全・安心の確保に重要な役割を果たしてきたが、大規模な再開発、自然災害による町の崩壊など理由に失われつつある。本計画では特に昨今の気候変動や災害によって脅かされている地域共同体において「中水利用」を軸に解決策を模索したものである。
近年地球温暖化の影響に伴い、集中豪雨が増加する一方で連続干天日数も増えており、都市部では渇水問題も無視できなくなっている。また、2024年1月の能登半島地震では、約59,000戸で断水が確認され、地震の発生から1ヶ月が過ぎた現在も復興の目処が立っていない。
本計画は、今後も起こり得る水不足に対して、建築が雨水や汚水の「排水源」としてだけではなく、貯水の役割も担い、水質、浸透時間、市民の日常生活に与える効果をオンサイトにコントロールすることで、建築が都市の水循環インフラを補完するよう変えていこうとする試みである。
舞台は近年雨水の貯水・利用に取り組む墨田区京島地区。地域で雨水を貯め、住民間で共有する『路地尊』のシステムから着想を経て、雨を再資源化し、災害時には「小さな水源」として、集中豪雨時には「雨水の一次退路」として機能する建築を計画する。また、住宅や地域施設に雨水調整機能を取り入れることで日常からコミュニティ強化の核となり、水不足を地域で乗り超える為の「京島雨水共同体自治モデル」を提示する。

作品イメージ

Profile

略歴

1999年 神奈川県生まれ

2022年 日本大学理工学部建築学科 卒業

2024年 日本大学大学院理工学研究科建築学専攻 修了