近代和風の数寄屋建築の現代的解釈による動物園の提案

氏名
志賀辰哉
所属
前橋工科大学大学院
工学研究科 建築学専攻
研究室
石黒由紀研究室
作品概要

「数寄屋建築」は、政財界人、豪商、華族などの「数奇者」と呼ばれる新興の階層から影響を受けた大工棟梁によって、日本建築の伝統と新しい西洋文化の融合を試行錯誤しながら創り出された。
数寄屋建築の特徴の一つである自然素材に着目し、空間要素や形式に対して、その個性の曲がりや特有の形状等を作為的に扱うという手法がある。それは建築に「コンテクスト(自然=生きている環境)から切り離されて、鑑賞する(される)」という機能を持ち込んでいる。
本提案では、数寄屋建築の空間要素の現代的解釈を行い、抽象化された手法を組み合わせて動物園に適用することで、自然と人間を対立させずに、「人間も環境全体の一部である」という考え方を、空間体験を通して実感をさせることのできる動物園を提案する。
計画敷地は、茨城県水戸市千波町千波公園とする。偕楽園を中心に歴史を関連する文化施設が充実しながら、多様な鳥類、淡水魚類などが生息し、人の生活圏内に豊かな自然が共存している。
この動物園に関連する生き物同士を、人間も含めて同等に扱い、展示動物同士が見つめ合っているのを来場者が見る、その来場者をまた鑑賞する来場者がいる、飼育する人間を見る世話をされる動物を来場者が見るなど、幾重にも「見る/見られる」の関係性が繰り返されている。そうすることで、人間自身が相対化された、地球環境のメタファーとなることを期待する。

作品イメージ

Profile

略歴

2000年 茨城県日立市生まれ

2022年 前橋工科大学 建築学科 卒業

2024年 前橋工科大学大学院 工学研究科 建築学専攻 修了