埋立と埋葬のはざまで

氏名
鈴木正義
所属
武蔵野美術大学大学院
造形研究科 デザイン専攻
研究室
布施スタジオ
作品概要

私たちは都市で生活をする中で、様々なモノを消費して生きている。その消費されたモノの行き着く先が埋立地であり、そのほとんどが私たちの知らないところで粛々と行われている。そして、その周りの環境と風景を一変させる大きな影響力を埋立地は持っている。

本制作の敷地は、そんな埋立地が谷戸と呼ばれる小さな谷地に、墓地と同居している場所とした。埋立地と墓地は道を挟んで対峙しており、その構図は否応なしに埋立と埋葬という二つの行為を比較させる。私は谷戸という同じ空間の中で並行して行われる埋立と埋葬に、強烈な類似性を感じた。

私は埋葬を埋立のアナロジーとして捉え、埋立地を都市の墓として再解釈する。そして、二つの行為のはざまに故人を弔うための場として、また、埋め立てられたものを弔う存在としての建築を設計する。

二つの行為のはざまに存在するこの建築は葬斎場として、粛々と行われる埋葬までの弔いを見守り続ける。そして、その建築は周りで行われる埋立と共に、徐々に埋没していき、外形を失ってゆく。つまり、建築もまた埋立、或いは埋葬されていく。

最終的に埋立が完了すると、埋立地の跡地は公園としての利用が自治体によって計画されている。その時、この建築は過去にここで埋立という行為が行われていたことを示唆する標として、つまり埋立の墓標として立ち上がり、埋め立てられたものを弔いながら、かつて谷戸であった場所の風景に存在してゆく。そして、埋立完了後も、かつての谷戸の底で埋葬のための儀式が粛々と行われ続けるだろう。

作品イメージ

Profile

略歴

1999年 神奈川県生まれ

2018年 埼玉県立春日部高等学校 卒業

2022年 武蔵野美術大学 造形学部 建築学科 卒業

2024年 武蔵野美術大学 造形研究科 デザイン専攻 建築コース 修了