相談内容

木造戸建分譲住宅の北西面2階のバルコニーが、突然床骨組みだけ残して三方の手摺壁と共に崩落した。
各住戸のバルコニーも、皆同じ曲線を取り入れたお洒落なデザインである。
入居してから18年経過しているが、入居当時に2階バルコニー部分から1階テラス戸上部に漏水したことがある。
施工者が数回修理をしたが直らないため、こんな建物は引き取れないとの思いから、区の法律相談に行き弁護士に相談した。しかし現在修理中であるとの事由で、買い戻し請求は出来ないとの事であった。その後の修理で漏水は止まり仕上げ材の交換も完了した。

今回の事故で建設会社にバルコニーの再構築を申し入れたが、長年建物のメンテナンスを一度も行っていないため、当方には責任は無いと言っている。
今後の対応は如何にすべきか?

 


 

他の住戸のバルコニーや相談者の南側バルコニーも現在支障が無い事から、このバルコニーの防水の修理に問題があったと考えられる。
18年前に行われた防水の修理は局部的な場所であったことから防水の全面修理は行わず、コーキング材による部分修理であったと思われる。コーキング材にもよるが、18年経過するとコーキング材の劣化が進んで、収縮によるはがれや隙間が生じる事がある。
しかし修理以降の経過年数で木部が腐食により崩落したとは考えられないため、修理が完全でなく階下の室内の漏水は止まったものの漏水の水みちが外部側に変化し、木部を腐食し続けたと推察される。

 

崩落の原因としては、はねだしバルコニーの構造的な不備や、振動の繰り返しによる防水層や修理部分の破断もありうる。
また、このバルコニーは、内外モルタル塗りで先端部は鉄製の飾り金物で曲面を構成している事から本体が重く、バルコニーの構造や防水に支障をきたした疑いもあり、現地調査による詳細な立証作業が必要になると思われる。

 

建物の欠陥事故で漏水と構造の欠陥はいずれも1、2を争うほど多く、漏水事故の場所はコンクリートや木造の建物を問わず開口部付近であり、本件のバルコニー開口部も例外ではない。
バルコニーでは、出入り口下部の立ち上がり高さ不足による漏水事故もあるが、防水施工の際、目線下のためとサッシュの水切り枠等が目視や作業を妨げて、完全な防水処理が行われないことが雨漏りの原因になっている。
これらは設計者、施工者、職人に至るまでの止水に関しての認識不足から発している事は明らかである。

 

一般に防水工事による保証は5年から10年であり、建物の耐久年数から見ても短期間である。
最近では20年保証を行うメーカーも出ているが、期限内の保守点検をかかさずに行うべき場所である。
最近の豪雨はバルコニーの排水が間に合わない程の雨量があり、また壁に囲まれたバルコニーなどは風の逃げ場が無いため、暴風による圧力で、水道で散水したような状態で吹き上げる。したがって、どのような小さな隙間からでも雨水は入り込み雨漏りとなる。
建物の購入時には、忘れずに施工者に念を押すべき事項である。

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