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「都市デザイン部会」発足を機に今こそ都市デザイン
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今どき都市デザイン?
デザイン部会の中に都市デザイン分科会が誕生し1992年の横浜大会で「今なぜ都市デザインか」と題するセミナーを主催した。セミナーの企画趣旨を講師に説明すると、JIAは今どき都市デザインか?と笑われた事を思い出す。以来、重ねてきた連続セミナーも今年で5年目を迎えたが、相変わらず会員の参加は極めて少ない。そして巨匠の作品論の類は相変わらず活況である事が今のJIAの本質を示している。
そんなことではいけないんだと10人足らずでスタートした私たちグループは、セミナーを通して外部の様な専門分野の方々と情報交換し、若手所員や社会一般の多くの参加者の支持を得ることが出来た。気がついてみると会員メンバーが30名を超えてしまった。JIAの同志がこれだけ私たちの活動に合流してくれたことはこの上なくうれしく、また心強い。
都市工学科出身の私は都市計画関係の知人も多く、それだけ都市デザインとのなじみが深い立場にはあるが、ブラジルでの経験やUIA的な意識からしても、都市デザインというテーマがJIAでは本流足り得ないことに危機感を持っている。これだけ一般社会や行政そしてマスコミまでもが、まちづくりや環境問題、景観整備、市民参加等々を取り上げる世の中になったというのに。
建築家の役割
建築家の役割は社会への貢献であり、このあまりにも悲劇的な都市及び国土の現状を少しでも向上させることにどう貢献できるかであると私たちは考える。一軒の住宅を設計することも住宅地の広場や公園を造り上げることも基本的には同じと考える。同様に集合住宅も、それが民間のマンションであれ公団の団地であれ、市民へのかかわりとしてみれば、圧倒的な重要性をもつ。再開発事業や団地の建替え、商店街の活性化や駅前空間の整備なども市民との接点としては極めて重要なテーマであるが、JIAの議論の中では影が薄いのはなぜか。
作品の出来映えを専門雑誌と仲間内とであれこれ議論している間に世の中は変わってしまった。設計することだけが我々の使命ではもはやあり得ない。ひとつの建物が美しいか否かが社会の関心ではなくなった、というより美しいことはプロとして当然と言うべきであろう。世の中は高齢化社会、環境問題、エネルギー問題等への対応を、新たなる都市生活のヴィジョンを建築家に求めているのだ。
都市デザイン部会発足
以上は私見であり個人の責任において書いているが、私たちグループは日常的にこうした議論を重ねている。さらに社会一般に向けた情報発信及び交換の必要性を認識し、本年7月に独自のホームページをインターネット上に立ちあげるに至った。インターネットを通してのJIAの他支部や地域クラブとの連携もこれから楽しみである。
一般向け都市デザイン書の出版にも取り組んできたが、残念ながら実現にはもう少し時間がかかりそうである。そこで、編集委員会にお願いして、本BULLETINに1ページを頂くことになった。今後メンバーが様々な視点から都市デザインに関する投稿を続ける予定である。本号が出る頃には私たちの分科会は、役員会の承認を得て「都市デザイン部会」として独立した活動を開始しているはずである。今後ますます多くの会員が当部会に合流して下さることを期待して都市デザイン部会の第1声とする。
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