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音楽・スケッチ・まちづくり
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ギターやボーカル,コーラスを担当し,バンド活動を行って15年になる。現在はポップス系のオリジナル曲を演奏するバンドでボーカルとコーラスを担当し,ライブ活動の他,最近では自主製作CDの録音を行っている。CD録音の最終的な段階では,まさしく「空間づくり」が行われる。例えばメインボーカルを中心として,ピアノは右側何度の方向から聞こえるようにするか,高,中,低音の各コーラスはどのような配置(方角)にするか等,両耳で聞いたときに広がりや臨場感を感じるようにするのである。
目を閉じた時に感じられる真っ暗な空間の中に各演奏者を配置させ,時には移動させたりするのである。
私はクラシック音楽には全く疎いのだが,小澤征爾指揮のボストンシンフォニーを聞きに行ったことがある。 全身を使ってのコンダクトを見ているだけで「空間」が広がってきた。
「ほら,あっちに滝があるよ。 あすこに小鳥が留まっているよ。 ほら,鳴くよ」というふうに森の中を案内されるようなものである。
指揮者の後ろ姿に助けられ,演奏を聞いて(見て)情景を浮かべるということを体験出来た。
Stingの名曲,「Englishman in New York」では,まさしく,ニューヨークの街が感じられる。
曇った朝,ガス(水蒸気)の立ち上がる道路,その下を通る地下鉄の音,そして道路工事の音。 摩天楼の隙間から広がる空,SOHOのギャラリーのショーウィンドウ。
タイトルどおり,とてもNYらしさが感じられるアレンジである。
都市空間をスケッチする授業を取ったことがある。 教会内部の彎曲した梁を,それがえぐりとる空間を意識しながら鉛筆を傾ける。
頭上を行き交う高速道路とその隙間から零れ落ちる空の光。 運河にかかる鉄橋とその延長上に見える街のスカイライン,手前には水面から飛び出した松杭の頭。
それらを寒空の下で,手,腕,肩,足腰を使いながら描いたものである。 目の前の空間をじっと見て,読み取り,認識する。
それを咀嚼した上で,勢いよく,リズムよく体で描く。 そこには,完璧な写実ではなく自分なりの解釈と表現が入る。 ターナーが描いた教会のマスタードローイングを模写する。
最初は利き腕で,2回目は反対の手で,その精緻極まる細い線を追いかける。 それを上下逆さまにして少し離れて見る。 意外な「リズム」,「関連」が見つかったこともあった。
それらの経験をもとに街を歩く。 建物,自然,人や車の動き,それぞれの対話(調和)が目に見え,耳に聞こえてくる。
もちろん喧嘩(不調和)もある。 音楽やスケッチのような個人の趣味とは程遠く,街のデザインは難しい。 それでも,「まちづくり」に関わりながら暮らしていきたい。
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