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文化財と都市の三次元デジタル化
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鎌倉大仏のデジタル化
昨年の春,東京大学生産技術研究所・池内研究室と共同で行った鎌倉大仏のデジタル化に関するプレス発表はマスコミ各社で報道され,大きな反響を得た。また,その後もいくつかのテレビ番組などで紹介されることとなったが,この映像は三次元レーザースキャナという新しい技術により鎌倉大仏の形状データを取得し,新たに開発したソフトウェアにより大仏の三次元データを生成してCG映像化を行ったものである。高さ12メートルに及ぶ巨大な文化財の形状をスキャニングしてCG化した例はこれまでにない。
三次元のデジタルアーカイブ
文化財をデジタル化して記録・保存,データベース化,コンテンツ化を行い,多様なメディアを通じて多数の人々に提供しようとするデジタルアーカイブの活動は,二次元の写真画像によるものは各方面で進められてきたが,三次元のデジタル化は,その必要性が広く認められながらも,未だほとんど行われていないのが現状である。
我々はこれまで,三次元のモデリングにより過去の歴史的建造物の復元を行い,仙台城,多賀城南門,駿府城などのCG映像作品を制作してきた。しかしながら,モデリングによって仏像や遺跡のように複雑で不定形な形状の三次元データを作成することはたいへんに困難であった。三次元レーザースキャナーの技術はこの問題を一気に解決するものであり,建造物のみならず,町並み,近代化遺産,美術工芸品,遺跡,庭園などを含むあらゆる文化財を高精度に効率良く三次元化することを可能とする。我々は現在,復元モデリングとレーザースキャナーを複合的に利用して様々な文化財を対象とする三次元デジタル化,データベース化,そして映像,インターネット配信,バーチャルミュージアムなどへのマルチユースを推し進めようとしている。
都市のデジタル化
コンピュータの性能向上により,都市の三次元データ利用のニーズが急速に高まっている。三菱商事(株)と共同で,昨年の春にプレス発表を行った「バーチャル京都」は,イコノス衛星の高精細画像(1メートル解像度),国土地理院の国土数値情報,二次元デジタル地図などを利用して,コンピュータ処理により約70平方キロメートルに及ぶ京都の市街地を三次元化し,リアルタイムにフライスルーできるバーチャルリアリティである。
これに続く「バーチャルシティ丸の内」は,丸の内の街をウォークスルーできるバーチャルリアリティであり,建物・道路情報の参照,店舗・会社のホームページへのリンク,計画建物の完成デザインの表示など多様な機能も実現している。
現在では,航空機でレーザースキャニングを行うレーザープロファイラ技術によって取得した都市の点群データをも利用して,都市の三次元データを極力自動化して生成する手法の開発を進めている。近年「三次元GIS」という言葉が定着しつつあるが,都市のリアルな三次元データを効率良く大量に作成して安価に提供することができれば,都市計画,防災,都市インフラ,観光,文化財,不動産,エリアマーケティングなど,広範な分野で利用されることとなろう。その日は間近である
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