1.はじめに
 気象庁が「猛暑日」を新たに設けるほど、都市部の「ヒートアイランド現象」が日常的になっています。
 温暖化している地球の平均気温の上昇率は、IPCC(気象変動に関する政府間パネル)の発表で最近まで100年間で0.6℃であったものが0.74℃に上方修正されるほどになっています。しかし、東京ではこの値をはるかに超え、100年間で2.6℃も平均気温が上昇しています。図1にあるように、ここ100年間の東京の温度上昇は他の都市を抜いています。それも戦後復興期からの上昇が著しくなっています。



図1 100年間で上昇した年の平均気温

 しかしこのグラフに表されている値は、皇居の森に近い大手町の気象庁にある百葉箱の温度であり、街の生活で感じる気温はさらに高く、「地域的温暖化傾向」が生じています。
 ヒートアイランド現象は、都市が共通して抱える「地表面被覆の人工化」「人工排熱の増加」「都市形態の変化」などに要因があり、年々気温が上昇することが避けられない深刻な問題となっています。このような背景の中、平成14年に中部経済産業省が公募したコンソーシアムにおいて、「ドライミスト蒸散効果によるヒートアイランド抑制システムの開発」(名古屋大学+5企業)が選定されたのは時の流れの結果であったと思います。