作品詳細

電湯 - 都市における中心性をもつ共同体の再生 - 

氏名
矢野 健太
所属
東京都市大学大学院 工学研究科 建築学専攻
研究室
手塚研究室

作品概要

震災以後、少なくとも我々がおかれている現代社会には共同性を失いかけていることを再認識したはずである。この希薄な関係で出来上がった便利な都市は完結度の高い住まい方へと変貌させ、それは町に“人間らしさ”の欠如を招いた。しかし、時代の転換期を迎えた今、縮小化するエネルギーのパラダイムこそが共同体を再生させる最後の鍵であると考える。一方で、都市をミクロな視点で見ると一定の距離感で銭湯が点在している。それは法で設定された250mの離隔距離がつくりだす銭湯独自の商圏であり、それが結果として、町における共同体の理想的なスケールを生んだ。かつて町の中心であった銭湯は熱を出すことから発電に対しての互換性にも優れている。そこで、現在廃業が著しい都会の銭湯跡地のスケール感使って、風呂としての機能性だけではなく、そこへ行けば誰かがいて、長時間いたくなるような開放的になれる圧倒的な空間性をもった銭湯として、また、それが地域の電力を少しでも生む発電所としても存在することで、銭湯を再び日常的社交場へと回帰させる。普段使う電力は近くのあの銭湯から供給されているという認識を周辺住人が持つことは、“カマド”のような銭湯がシンボリック性をもちながら、町に中心性を与えてくれる。非常時には少しでもその町を灯すライフラインとしての実用性を持ち、小さなスケールの中で、人間らしい夢のある都市風景を創り出す。
プロフィール
矢野 健太
1988年 東京生まれ
2011年 千葉工業大学工学部建築都市環境学科 卒業
2013年 東京都市大学大学院工学研究科建築学専攻 修了
現在 手塚建築研究所 勤務

受賞歴

千葉4大学合同講評会 Cリーグ 平田晃久賞
第4回長谷工 住まいのデザインコンペティション 佳作
第52回全国大学・高専卒業設計展示会 選出展示
第23回千葉県建築学生賞 最優秀賞
赤レンガ卒業設計展2011 グランプリ
全国学生卒業設計コンクール2011 淺石賞
UR都市機構団地再生アイデアコンペティション 最優秀賞
第10回R&R設計アイデアコンテスト 入賞
東京都市大学大学院修士設計学内審査会2013 優秀賞
トウキョウ建築コレクション2013 ファイナル選出

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