建築の終生 - 縮小する小学校 -
- 氏名
- 細川 良太
- 所属
- 工学院大学大学院 工学研究科 建築学専攻
- 研究室
- 澤岡研究室
作品概要
解体を前提に建築をデザインすることによって、縮小する未来を許容した小学校を提案する。
ある日突如として姿を消すのではなく、人々に使われながらゆっくりと消えていく。
ろうそくが身を溶かしながらなくなるまで火をともし続けるように。
私の母校である小学校は統廃合により近々解体される。今でも鮮明に思い出される母校での記憶。時代の流れとともに、解体により突然と姿を消そうとしている。これまで建築を作ることばかりを考えてきた私は、母校の廃校という事実を目の前に、建築の死というものを考えるようになった。
現代において建築は「いかに長く大切に使うか」が主題になっており、延命的な考えが蔓延している。しかし、モノは有限であり、生まれると同時に死が存在するとすれば、「いかに終わっていくか」を建築を生み出すときに考えなければならない。それは決してネガティブな考えではない。終わること、死んでいくことを積極的に行うことで、そこに新たな価値や物語を生むことができるはずである。
この経験から、プロジェクトでは母校の統廃合後の新校舎を計画する。
これは縮小することで小学校としての生涯を全うし、美しく終わる建築の終生である。