景観構造の透視図的解釈に着目したJR上野駅エリア改修計画
- 氏名
- 日野 顕一
- 所属
- 東京理科大学大学院 工学研究科 建築学専攻
- 研究室
- 山名研究室
作品概要
景観計画と建築設計の一体的な提案について考察します。
JR上野駅エリアは景観形成特別地区に指定される一方で、都心の開発部にあるため、近隣には再開発事業などより超高層ビルが建設され、景観への影響が懸念されています。そこで本計画では既存の景観計画を参照し、景観計画の理念を伴う建築設計を試みることで、経済発展と文化資源の保護など、文化財的価値を有する対象建築物及び対象地区周辺のバッファーゾーンにおける建築設計の手法を提案します。
はじめに景観計画の事例を参照し、抽出した評価基準をJR上野駅の改修計画に適用させます。静的な視点をもつ景観計画の絵画的特性から、各事例の消失点に着目、その特徴4点と周囲の建物形態の比較により、周囲の建物形態が景観に与える評価基準「A.景観のモニュメント化」「B.景観の一体的形成」「C.景観の目的設定」「D.景観の整理」を抽出しています。
国立西洋美術館への眺望を意識した既存の視点場A1に加え、周囲や上野公園への眺望を意識した視点場Cを設定し、各視点場から見るJR上野駅の形態に評価基準ABCDを適用させ、「JR上野駅を通して背景の景観をいかに見せるのか」という視覚的効果にもとづいて駅舎の内観と外観を設定しています。
視点場の概念を建築設計に取り入れることで、建物と同時に建物の見え方をデザインし、建物(景観)を見る人々と建物を使用する人々の異なる行為の重ね合わせにより建築空間を提案しています。