空気の翻訳
- 氏名
- 星 洸祐
- 所属
- 東京理科大学大学院 理工学研究科 建築学専攻
- 研究室
- 伊藤研究室
作品概要
もし、建設に対する”空気”が実在するとしたら― 本プロジェクトはこの仮定に基づいた建築的実践の記録である。 “空気”とは集合的な無意識のことであり、たしかにその存在を感じ取れるが、誰も確信的に把握できないようなものを指す。だが、現代の情報工学的/脳科学的な技術を前提にすれば、”空気”を可視化し現実のプロジェクトへと実装させることはそう困難なことではない。設計者はある実験的なワークショップの実行によりそれを収集し、2つのモデルに咀嚼した上で、建築として成立させるために翻訳した。設計者が意図したことは、“空気”との無意識的—非言語的なインタラクションを合意形成のフレームワークとして設計プロセスに位置づけることである。これにより、大衆迎合的な〈直訳〉にもならなければ、官僚主義的な〈誤訳〉にもならない。最終的に出力された建築の形態/用途/規模のいずれにおいても、設計者がゴールイメージを作為的に描いたわけではなく、”空気”が設計者を介して建築になった、と表現する方が正しい。その意味で、この一連の作業を〈設計〉ではなく〈翻訳〉と呼んでいる。 ―形態は空気に従う。