「都市の里山」
田町操車場跡地土地区画整理事業に伴う山手線新ターミナルビルの設計
- 多様な防災機能を取り入れた複合施設の提案 -
- 氏名
- 菅原 雅之
- 所属
- 日本大学大学院 理工学研究科 海洋建築工学専攻
- 研究室
- 佐藤信治研究室
作品概要
平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、現代建築で埋め尽くされた都市における災害への脆弱性を顕在化させた。これは現代の都市基盤が自然災害が発生しても市民生活には影響が出ないことを前提にした土木構造物と効率を最重視した現代建築で構成されていたことが要因と考えられる。
今後、発生が懸念されている東海・東南海・南海による3連動大地震、そして首都圏直下地震に備えるためには、土木構造物を中心としたインフラ整備以外に、都市を構成している建築物自体を変えていく必要があるだろう。それには、都市を構成する建築物が災害などの非常時に有効に機能することが求められるとともに、機械設備等に頼ることなく快適な生活が得られて、身体的にも精神的にも安全・安心できる建築物が必要と考えられる。
しかし、東日本大震災を経験した現在においても,教訓は活かされず、未だに効率を至上としているかのような建築物を中心とした大規模開発が行われているのが現状である。
そこで本論では、新たに計画されている開発地区をケーススタディの対象とし、多様な防災機能を取り入れながらも、街と一体になることで、多彩な自然環境を生み「心の拠り所」と「生産の場」となる「都市の里山」になるような複合施設を提案することを目指す。
計画地は、国際戦略特区として注目を集め、田町操車場跡地土地区画整理事業が予想されている山手線新ターミナルビルとし、設計を行うものである。