高畠アグリベルト - 農業体験施設と地域施設の複合建築によるまちの再構成 -
- 氏名
- 黒澤 祥貴
- 所属
- 日本大学大学院 理工学研究科 建築学専攻
- 研究室
- 小川研究室
作品概要
近年、農村の自然・文化を体験するアグリツーリズムが注目されている。アグリツーリズムは、農村のまちづくりのモデルとして期待される反面、農産物観光施設などハコモノの建設に終始するケースが多く、活動が地域に住む人々の生活に結びついていないといった指摘も少なくない。こうした状況を踏まえ、農業体験施設と地域施設の複合建築によるまちの再構成を提案する。設計対象地である山形県高畠町は米、ブドウなどの特産物を有する町であるが、少子高齢化の影響を受け、産業の衰退が進行している。一方で、利便性の向上により、観光農園の利用者をはじめ、農業研修を目的とした学生、さらに、有機農業を体験しようという農業従事者の訪れる機会が増加している。そこで、まほろば緑道と呼ばれる廃線跡地に作られたサイクリングロード沿いの3つの敷地に、それぞれコンビニと簡易宿泊施設、給食センター・カルチャーセンターと観光農園、宿泊施設とレストランから成る複合施設を計画し、沿線全体を既存の地域施設を含めたアグリベルトとして再構成することを試みる。地域住民と来訪者の使い方が少しずつ重なり合うように計画することで、それぞれの建物は地域住民の生活の一部でありながら、農業体験施設でもある建築になる。このように、これまで点在していた地域・文化施設と、新設の観光農園、農業体験施設をまちの軸に沿って統合することで、様々な関係が緩やかにつながる場を構想する。