清里高原ライフスタイル・アカデミー - 開拓文化が育む新たな暮らしの風景 -
- 氏名
- 義見 春野
- 所属
- 日本工業大学大学院 工学研究科 建築学専攻
- 研究室
- 小川次郎研究室
作品概要
清里高原は、山梨県八ヶ岳南麗に位置する酪農や観光で知られる地域である。同地は元来気候の厳しい荒野であり、戦後本格的に開拓された。観光地としての歴史は浅く、1970年代に急成長した地域である。1980年代には多くの観光客が清里を訪れ、それに合わせて装飾的な宿泊施設や飲食店が乱立したが、短期間での開発は清里本来の魅力を衰退させる結果に終わった。現在、清里を訪れる観光客は減少し、80年代に建てられた施設は特徴的な形態を残したまま、廃墟となっているものも少なくない。一方で、開拓の歴史や建築は、清里の象徴的な文化として現在も地域に根付いている。こうした風土のもと、近年清里に新たな生活スタイルが現れ始めている。都内と清里のどちらにも生活拠点をもつ「半住民」といえる人々の生活スタイルである。彼らは地域住民との交流を通し、高原の趣味豊かな暮らしを楽しみながら学ぶことで、多様な生活を実践している。こうした文脈と風土のもと、本計画では、清里発展の歴史を考察すると共に、清里への移住希望者が高原暮らしを実際の生活を通して体験する貸別荘地域を設計することを通して、観光ではなく暮らしのまちとして清里を再編することを試みる。