空間試行
- 氏名
- 下田 直彦
- 所属
- 武蔵野美術大学大学院 造形研究科 デザイン専攻 建築コース
- 研究室
- 布施茂スタジオ
作品概要
たとえば旅行先で、あるいはどこかの建物ではっと息を呑むような空間に出会う ことがある。このように空間そのものに感動する感覚、ただそこに広がる空間に感動するという感覚は人類普遍のものであろう。そしてこの感覚は建物の機能や 用途、性能や合理性とは別の次元で語られるべき空間固有の力である。
私は空間を主題とし主観を用いて設計することにした。
[ 与件 ]
1:
空間は言葉ではない。空間は空間によって語られなければならない。
空間は全感覚を統合した第六感のようなもので認識され、感覚質(Qualia)とし
て主観に現れる。
2:
「美しい感じ」「強い感じ」など空間への感覚質(Qualia)は定量化できるもので
はない。最も信頼すべきは自身の体験と恣意性、想像力である。
3:
感覚質(Qualia)は主観に発するものであるが、赤いものを見て「赤い感じ」を
受け取るように普遍性と深い関わりを持つ。このように主観性と普遍性は包含関
係にある。
具体的には自身の空間体験を基に、恣意性・想像力を用いて空間をスケッチ、さらに図面・模型というプロセスを経て空間を構成していく。それぞれに自律した純粋空間はプロセスを経て客体化、統合され、立ち上がる。極めて個人的でリアルな情動から立ち上がる、普遍的空間を目指した。