展示計画「カルロ・スカルパ」展 - 光と人の知覚に関する研究 -
- 氏名
- 稲葉 秀行
- 所属
- 早稲田大学大学院 創造理工学研究科 建築学専攻
- 研究室
- 古谷誠章研究室
作品概要
序
「わたしは自然光の熱狂的な愛好家です。できることならば、空の青を切り抜いてみたい。」 Carlo Scarpa 本研究はC.Scarpaの建築を人が知覚する上で「光」が重要な意味を持っていたと仮定するものであり、「光」が建築と人の知覚の間に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。建築と人との距離を近づけ、実の空間体験を少しでも豊かにしようとする試案である。
計画
C.Scarpaが生涯設計の重要因子として扱っていた「光」をもって空間を演出構成し、「カルロ・スカルパ」展の計画を行う。C.Scarpaにより生涯多くの芸術作品を展示するために設計されてきた器としての建築そのものを作品として捉え直すこと。また、現場設計を基本としていたC.Scarpaの設計手法を通し、現代に対しより豊かな空間体験を獲得する切り口を見出すことを目的とする。 展示計画の題材として代表作Castelvecchio美術館を扱う。
結
展示作品のみではなく、取り囲む空間と人の知覚を通しその価値を認識できるのではないだろうか。メディアやさらなる技術の発達により限りなくリアルな空間体験までをも可能にしようとする現代、常に、現場設計を基本としたC.Scarpaの空間が建築空間の価値を再定義しうるものであるということを展望とし、本研究の結びとする。