Gallery作品詳細
建築的身体の研究
- ヨーン・ウッツォンの作品分析を通して -
- 氏名
- 岸田 和也
- 所属
- 千葉工業大学大学院
工学研究科 建築都市環境学専攻 - 研究室
- 石原研究室
- 作品概要
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様々な意匠が氾濫する現代において、私は建築の始まりを探求したいと思い、 ゴットフリート・ゼムパーの「建築芸術の4要素」を研究の入り口にしました。ゼムパーは、人の集まりを生む炉、それを覆う屋根、囲い、土台を建築の4つの要素としました。重要なのは、ゼムパーは、囲いの本質を壁体としての構造ではなく、壁面としての仕上げ工としたことです。ここに、被覆という概念が生まれます。
ゼムパーのこうした考えを近代建築で継承建築家としてヨーン・ウッツォンを 取り上げました。ウッツォンの代表作はいうまでもなくシドニーオペラハウスです。ウッツォンはアジア諸国を巡った旅で、中国の寺院建築を基壇の上に浮かぶ屋 根として捉えました。この感性が、基壇と屋根、その間を覆うガラスカーテンウォールのシドニーを生んだといえるでしょう。シドニーにおいてウッツォンは、オヴ・アラップとの協働でもう一つの重要な方法を編み出します。それが一つの球体を切り出すことで生まれる複数の屋根の重なりです。その後ウッツォンは、合理的な単位空間が加算的に集合することで有機的関係を作り出す作品を展開します。
しかし私は、このような作品から、シドニーが持っていた囲いの軽やかさが失われてしまったと考えます。そこで私は、ウッツォンの加算的建築を継承しつつ、基壇と浮かぶ屋根との間に現れる囲いの建築を設計することに挑戦しました。
プロフィール
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略歴
- 1994年
- 大阪府生まれ
- 2017年
- 千葉工業大学 工学部 建築都市環境学科 卒業
- 2019年
- 千葉工業大学大学院 工学研究科 建築都市環境学専攻 修了