Gallery作品詳細
妖怪建築
- 存在しないもののための建築 -
- 氏名
- 國清 尚之
- 所属
- 東京藝術大学大学院
美術研究科 建築専攻 - 研究室
- トム・へネガン研究室
- 作品概要
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物語の生まれる余地の少ない整えられた都市風景、存在しないものの世界を想像する必要性を感じられない世の風潮、虚と実を横断して捉えられない人々、白黒の二元論にこだわりグレーなものをグレーなままに扱えない世界へ。
現代都市の妖怪が住む場所を収集・調査・分析した結果を、建築計画に適用することで、人の想像により補完されることで成立する空間すなわち実と虚が混在した空間を設計する。
妖怪は現代都市に空間的痕跡を残すことで、異界から応答している。この痕跡とは極めて不気味で不思議な状態で発見され、痕跡と妖怪が結びつけられることで不気味で不思議な状態のままに理解し説明することができる。つまり、妖怪とは空間的痕跡のメタファーであり物語の代弁者である。
痕跡と妖怪を結びつけることは、現代都市のなかに物語の定点を生む。そうした定点が増える中で、例えば異なる場所に同じ妖怪が見つかれば、その人にとっての都市のシークエンスが生まれ、また同じ場所に異なる妖怪が見つかれば、その人にとっての定点の深度が変わる。つまり、妖怪とは人間が都市を歩く時に目的とは異なる世界の連続性や連関性を与える存在であり、背反的存在として人間を人間らしくしてくれる。
妖怪建築は、現代都市空間の目的に対する違和感、本来の意味や機能に沿って構成される部分に対する記号性を解体しようとする部分が統合されることで成立する。つまり、妖怪建築とは、人間が空間へ近づく際の主体性を回復するためのきっかけである。
プロフィール
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略歴
- 1993年
- 山口県宇部市生まれ
- 2016年
- 九州大学 工学部 建築学科 卒業
- 2019年
- 東京藝術大学大学院 美術研究科 建築専攻 修了