現在における地域開放のあり方は、学校として機能していない時間帯や子供や教師との関わりのないところで行われている。しかし、今後は教育内容と教育活動に必要な地域の人的・物的資源を含めて活用しながら効果的に組 み合わせることが重要であり、地域の居場所であると同時に、地域の文化教育を行う場が必要であると考える。

　本計画においては、多国籍地域である横浜市泉区上飯田町を対象としたケーススタディとして、今までの単に地域の居場所提供としての地域開放ではなく、地域と協働して子供たちを教育していく新たな地域協働型小学校の姿を提案する。

　多国籍地域においては、特に多民族の言語や文化を専門的に地域や子供達に発信していく人材が求められ、教員と専門スタッフが連携しながら、地域も子供達を育成していく教育組織を形成する必要がある。

　計画敷地は神奈川県横浜市泉区の「飯田北いちょう小学校」の建て替え計画として計画する。こちらの学校は、外国にルーツのある子供が全校生徒の約半数となっており、地域と協力した多文化共生の学校づくりを目指している。

　小学校と地域センターを複合し、学校教育と地域教育の共有する空間を計画する事によって、地域住人と小学生の学習的、社会的な交流が日常的に行われる。そして、本来の小学校区において、学ぶ意志のある多世代のコミュニティが小学校を中心に広がって行くことを考える。