Gallery作品詳細

公共建築の屋根構成に関する考察および設計提案
- 近景と遠景に着目して -

氏名
大可 大
所属
首都大学東京大学院
都市環境科学研究科 建築学域
研究室
小林研究室
作品概要

屋根は降雨雪量や風、日射の状況などの外力に対するシェルターのような原初的な性格から始まり、気候や風土などの立地環境から入手できる材料により可能な構法との関係によって形成されてきた。また連なることにより現れる屋根並みはコミュニティのまとまりを表現したり、平面的に大きい建物では外観上のシンボル性を担保するものとして発展してきた。しかし、近代以降モダニズムや高層化、新たな建築材料の浸透により屋根は消去され、均質な矩形空間のみが残った。多様性を尊重する現代では、建物内の様々なアクティビティを許容、誘発する建築が求められ、それに応答するかたちで屋根表現も多種多様となっている。一方で街並みのガイドライン等で半強制的に形式だけ引用されるシンボリックなツールとして使用されている現状も多く見受けられ、現代建築における屋根の十分な位置付けができていない。本研究は、社会の要請が複雑化・細分化していく流れの中で、多くの人が利用する公共建築における屋根表現の傾向を位置付け、外部空間において遠景では面が、近景では端部が大きく知覚される屋根の両義的な性格に着目し、それらの構成から屋根表現を導出し、次世代の屋根表現の可能性を提示することを目的とする。『新建築』誌に発表された、310作品を対象とした分析により得られた屋根面と端部における修辞の変形パタンを統合し、敷地に内在する文脈に対して表現の読み替えを行うケーススタディとして複合施設の設計を行った。屋根構成と表現の一貫性が担保された屋根面と端部の修辞の変形を巧みに利用することで、人や自然と有機的な関係性を持つ屋根の有用性を示し、次世代の屋根表現の可能性を提示した。

作品イメージ

作品ファイル

プロフィール

  • 略歴
    1995年
    広島県生まれ
    2014年
    私立修道高等学校 卒業
    2018年
    首都大学東京 都市環境学部 建築都市コース 卒業
    2020年
    首都大学東京大学院 都市環境科学研究科 建築学域 修了