タイムスリップを重ね、自身の生家の過去を編集し続けることで生まれる、パラレルワールドを設計した。

全てが不確実で揺れ動くことを止まない世界で、建築がそのような動的な環境に反応を示し続けるために、建築家が本当にできることは何か。私が行ったのは、「生家の過去-それとは脈絡のない千年続くひとつの集落」という二つの場所と時間を横断し、重ね合わせながら、設計の一手一手を何度も点検し洗練させる行為だ。建築が時間を引き入れるためにはまず、時間の力を借りようじゃないかということだ。

現在という”一点”でしか回答が出せない建築設計において、それ以前と未来を引き受けるための「設計者の心得」を導き出すための試論である。