第21回 JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展 2023

人間のためでもある建築

氏名
谷本優斗
所属
神奈川大学大学院
工学研究科 建築学専攻
研究室
曽我部研究室
作品概要

まちを歩いていると、しばしば擁壁から顔を覗かせる植物、建築を飲み込む植物、使われなくなった扉や階段など、人工物と自然、時の流れが関係し合い、存在している様子を目にします。まるでその場だけ、人間が整備してきた環境に取り残されたかのような、自然の流れのままに形成された不思議な風景が現れます。本計画では、これを「生きられた描写」と定義し、扱っていきます。「生きられた描写」は、人工物と自然、時の流れなど多様な他者が関係し合い、蓄積することで痕跡として現れます。異なる理由から存在する小さな部分が集合することで、多様な解釈の広がりを有していると仮説を立て、建築へと昇華していきます。建築を構成する部分をそれぞれ異なる理由から設計し、その集合として建築を構築します。人間の生活だけを基準にするのではなく、環境の循環、生物の生活など、多くの要因を対象とすることで、人間以外の他者にとっての豊かさを生み出します。部分の集合であるため、不完全さは残るかもしれません。しかし、不完全であるからこそ、あらゆる要因を許容する寛容さを獲得できるのではないでしょうか。自然と建築の空間体験者へと誘われるような、力強く生き生きとした建築を目指します。長い時間をかけて、他者からの愛着を受ける依代のような建築になることを期待します。

作品イメージ

Profile

略歴

1998年 静岡県静岡市生まれ

2021年 神奈川大学 工学部 建築学科 卒業

2023年 神奈川大学大学院 工学研究科 建築学専攻 曽我部研究室修了