保存から継承へ
- 更新される通時的な建築 -- 氏名
- 石井健成
- 所属
- 工学院大学大学院
工学研究科 建築学専攻 - 研究室
- 西森陸雄研究室
- 作品概要
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現在、再開発と歴史保存という矛盾する二つの事象が交差している。これらを調停する新たなシステムとしての建築設計手法の確立、実践を行い、従来の建築更新手法、あるいは再開発を捉え直すことが本作品の目的である。分析として、通時態と共時態の二つの概念で建築を考え、通時的な建築であり再開発の文脈に位置する関係性構造継承型の更新手法を実践している。敷地は福岡県北九州市の旦過市場、大正初期から100年以上続く市場には長い歴史の中で醸成されてきたまちの構造と人のふるまいが存在する。一方で、水害や火災、違法建築などの背景から再開発が計画される。再開発を行うにあたり、ガラッと変わる従来の再開発ではなく、人が市場で醸成してきた関係性の継承を行いながら、少しずつ更新されていく再開発を目指す。市場が持つ大きな構造を継承しながら、再開発の目的である災害面や建築面、経済面に対処しつつ、旧市場で集めたふるまいを新しい旦過市場の中で建築形態を変化、あるいは更新しながら実現していく。この設計手法で作られる建築に終わりはない、市場関係者、そしてこれから市場に関わる人も含め、今回の提案をもとに各々が市場空間のカスタマイズを続け、私が想像もしないような新たな関係性が築かれ、そしてまた旦過市場が少しずつ更新されていくだろう。
Profile
略歴
1998年 福島県生まれ
2021年 工学院大学 建築学部 建築デザイン学科 卒業
2023年 工学院大学大学院工学研究科建築学専攻 卒業