相反共存の建築
- 閉鎖性と開放性の共存を軸とした建築設計 -- 氏名
- 酒井賢一
- 所属
- 東海大学大学院
工学研究科 建築土木工学科 - 研究室
- 河内研究室
- 作品概要
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空間を形容するような一義的な性質は、時にネガティブなものとして捉えられることや認識の希薄化が起こる。反対に、あらゆる感覚の中では甘いものには苦いものを、黄色いものには青いもの合わせることが魅力を増幅させることを経験的に知る。そのように性質を常にポジティブかつ最大化する方法として、対の関係にあるものを共存させる「相反共存」に着目した。相反する二つの対象を同じ枠組みの中で共存させることによって対比が起こり、実際よりも大きな差として感じられることから、空間の本質であるシェルターとしての役割をもつ閉鎖性と対の開放性との共存を目指した。相反共存の空間をつくるにあたって、効果的なバランスを開口率という視点で分析し、原理化を行った。二つの対象の共存を軸に計画を行う中で、全体や部分の設計の中にも相反要素を取り込むことで様々なふくみをもち、豊かさを付与する。商業施設をケーススタディとした建築は閉じたことによる空間の広がりや開口による店舗のキャラクター性を強調させる。そして曲線の開口が連続する建築は多くの閉鎖量の中でも立体的な風景を生み出し、見え隠れする先への空間に期待感を煽る。画一的な形式になりがちな空間も相反共存を用いることで場の質を高め、二重性をもつ豊かな場を形成することに繋がる。
Profile
略歴
1998年 新潟県生まれ
2021年 東海大学工学部建築学科 卒業
2023年 東海大学大学院工学研究科建築土木工学科 修了