雑記:姉の家
- 氏名
- 井川直樹
- 所属
- 東京都市大学大学院
総合理工学研究科 建築・都市専攻 - 研究室
- 福島研究室
- 作品概要
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人類は記録媒体の発達により記憶[メモリー]のようなローデータまで記録[レコード]可能となった。ヒトの記憶には矛盾や猥雑さといった魅力がある。だがそれは記録的[明瞭な主題を求める]設計手法では削ぎ落とされてしまう。修士設計『雑記:姉の家』は記憶的[複雑で多主題を統合する]設計手法により膨大なローデータを建築の主要なエレメントとして扱う。故に自身や他者のメモリーが顕著に現れ、かつレコード可能な姉の家を舞台とした。しかし、人間の記憶というのは瞬く間に消え去ってしまうため記録が不可欠となる。その記録媒体が雑記[図像、対話、引用物等の可能な限りの設計プロセスを設計と並走して記述し製本したもの]である。出来事を「言葉にすること」「本にすること」には力が宿るといわれる。特に臨場感を伝達する書物はその力が大きい。当事者の心の揺れ動きといったメモリーまで記録するにはそうした伝達力が必要となる。設計と並走して記述、製本される雑記はライブ感が必然的に記録され続ける。また雑記された途端に設計過程はエレメントとなり、自己参照可能となる。曖昧で恣意的とされやすいメモリーを設計要素として扱い、それらの断片が複雑で何とも言い難いカタチに統合された建築は人間生活と呼応するはずだ。そうした建築はスケール関係なしに世界に影響を与えると信じている。『雑記:姉の家』はその宣言であり、記憶である。
Profile
略歴
1998.10.25 01:23 誕生
神奈川県立秦野高等学校 卒業
東京都市大学 福島研究室 所属