養蚕民家に倣う
- 小さな虫のための建築から学び考えたこと -- 氏名
- 佐藤伶香
- 所属
- 東京都立大学大学院
都市環境科学研究科 建築学域 - 研究室
- 小泉雅生研究室
- 作品概要
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様々な環境問題に伴いエネルギー消費の削減が求められ、「人間のため」であることが前提にありながら「地球のため」の建築が模索されている時代。設計者には、快適な暮らしから多少の不便を許容する省エネルギーな暮らしへ移行する障壁を無くす視点と人間中心で物事を考える思考から抜け出す視点が求められると考える。約5000年前、人間は家畜として同じ屋根の下で蚕を飼い始め、これまで「人間のため」としてつくられていた住宅は「蚕のため」につくられるようになった。機械設備の無い時代に人間よりも繊細な蚕を育てることを可能とした「蚕のため」の住宅は、人間にとっても快適な「人間のため」の建築であり、地球に負荷をかけない「地球のため」の建築でもあった。養蚕民家のような建築の在り方は、現代に求められる建築像を導き出すきっかけになり得ると仮定し、養蚕民家の調査を行った。調査によって得られた知見をもとに、昔ながらの養蚕文化と新たな養蚕文化の見られる山形県鶴岡市を敷地とし、実際に養蚕を行う養蚕体験宿泊施設と、養蚕を行わず調査から得られた知見のみを応用した戸建て住宅の設計を行った。これらの養蚕に倣った建築を通して、かつて養蚕で栄えた鶴岡市を、養蚕を基盤とする「人間のため」であり「地球のため」でもある省エネルギーな暮らしが可能な都市として再生することを期待する。
Profile
略歴
1998年 山形県生まれ
2021年 千葉工業大学 創造工学部 建築学科卒業
2023年 東京都立大学大学院 都市環境科学研究科 建築学域専攻修了