『循環』に浮かぶ建築
- ゆるやかに開かれたインフラ -- 氏名
- 山道里来
- 所属
- 東京理科大学大学院
理工学部 建築学科 - 研究室
- 西田研究室
- 作品概要
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人々の生活を支えているごみ処理場などのインフラ施設は、人々から煙たがられ生活圏から離れた所に建設されるため、『自分の日常生活において、使用しているもの、捨てているもの、消費しているものに対して無意識であること』が様々な地球の問題を引き起こす大きな原因であると考える。その人々の意識そのものが変わらない限り、問題は解決に向かわないのではないか。本提案では、ブラックボックス化されたごみの循環をゆるやかに解き、大きな時間軸と大きな環境の中で、モノの廃棄と資源、エネルギーの生産と消費、水や熱や光の流れ、自然の生態系、さらには人の社会とその小さな営みといった『循環』の中に、浮かぶ建築を提案する。現在の廃棄物処理の流れを再考し、人々の営みを挿入する。地球の物質循環からみると廃棄するという行為は存在せず、廃棄物は燃やすことで、違う物質へ循環する。廃棄という行為そのものを疑うことで廃棄の文化から再資源化して還す文化へと変わる。提案するごみ処理の循環は人の営みとともにあり、都市を巻き込み、建築をつくることで地球へと還元する。図書館に本を借りにくるように、ごみを捨てに(循環させに)来る。そんな、豊かで開かれた公共性のあるごみ処理施設を設計した。排他的で閉じられたインフラではなく、日常の中で場所や人に寄り添い、図書館のように当たり前に、ごみの循環が人の営みの中に楽しげにある新しい公共建築の姿を提案する。