イメージの中で再構築できる建築
- 氏名
- 伊藤万由子
- 所属
- 日本女子大学大学院
家政学研究科 住居学専攻 - 研究室
- 宮晶子研究室
- 作品概要
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私たちは物理的な体と精神的な心の総体である身体を通して建築を受容している。実体ある身体を通して認識し、観念という心のイメージの中で建築を捉えなおせることは、自己存在を充足し安心感に繋がると考える。そこで身体の移動に伴い自分の位置を認識することは「わかる」「理解できる」建築の体験構造には必要ではないかという仮説のもと、認知心理学と認知神経科学の知見を応用し、建築における位置の認識について事例比較から検証した。事例比較より、私たちが建築を認識する上で基点のような移動の中で生まれる強い記憶が、手がかりとして重要であることがわかった。この建築に生まれる基点をもとに今いる自分と過去いた自分の位置関係を知り、環境を把握し、これらの体験によって建築のイメージが形成されていく。また体験を通して主観的な認識が形成されていき、それぞれの記憶に残る建築体験となる。形そのものではなく経験から基点を抽出した座標のあり方を形式とする設計論を展開し、場所とともに経験が記憶に刻まれる美術館を提案する。ただ認識しやすい建築ではなく、自らの足で回遊することでバラバラだった基点を結び、自分だけの建築のイメージを構築する。この基点をもとにイメージの中で繋がり、再構築されていく建築体験は、主観的認識が重ねられた自分だけの固有な体験となり、純粋な建築に対する想いが生まれていくことであろう。
Profile
略歴
2021年3月 日本女子大学家政学部住居学科 卒業
2023年3月 日本女子大学家政学研究科住居学専攻 卒業予定