第21回 JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展 2023

まち、或いは母

- 京都岩倉の地域看護から考える -
氏名
内山媛理
所属
法政大学大学院
デザイン工学研究科 建築学専攻
研究室
赤松研究室
作品概要

精神病を抱え、家から出られなくなった人たち。彼らの閉ざされた時間に、そっとまちとしての母を挿入する。それは、ジェンダー的家族観に基づいた家の解体と解放をも意味した。
かつて、精神病患者の地域預かりをしていた京都岩倉。その仕組みをプログラム的視点と地形的視点から読み取り、現代における地域看護を目指した。
敷地は市川中山。精神病患者の預かりをしていた中山法華経寺と精神病院の中山病院が隣接した市川中山は岩倉的文脈強く持っていた。
閉ざされた時間と空間を、「へや-いえ-まち」の3つのスケールで考える。地形を引き込んだ「へや」花き産業で繋がる「いえ」寺と花が繋がり境界としての意識をもたらす「まち」。⺟なる地形に呼応するように、そっと、群れとしてのいえを設ける。外の景⾊と結びついて、へやの中に⾕地ができる。微地形に沿うように、そして微地形を作り出すように置かれたスラブは、「へやに帰る」「まちに出る」という意識を作り出し、些細な視線のズレによって奥の「わたしのへや」は守られる。プログラム / 円環としての平⾯と地形としての断⾯は重なり、計画と感覚の狭間で私たちの居場所を作る。⺟なる場所を紡いでいく、その⼀つ⽬の場所として、中⼭の地にまちを描く。

作品イメージ

Profile

略歴

1997年 千葉県生まれ

2021年 法政大学 デザイン工学部 建築学科 卒業

2023年 法政大学大学院 デザイン工学研究科 建築学専攻 修了