第21回 JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展 2023

“NOWHERE to NOW HERE”

都市空間における移動式食品販売車の利活用に関する研究
- オレゴン州ポートランド市における”Food Pod”の事例を通して -
氏名
堀岡美維
所属
明治大学大学院
理工学研究科 建築・都市学専攻 国際建築・都市デザイン系 I-AUD
作品概要

COVID-19によるパンデミック以降、世界の都市では移動の価値やライフスタイルが大きく変化している。社会変化への柔軟かつ迅速な対応が求められる一方で、都市や建築は、規模や構成を変えにくいという特徴がある。建築内部の機能が自由に街に出て活動をしている事例として、移動式食品販売に着目し、都市づくりにおける戦略的活用の方法を検討した。
まず、米国オレゴン州ポートランド市には、移動式食品販売車が集積し半恒久的に営業している”Food Pod”と呼ばれる公共空間がある。ダウンタウンの駐車場で営業する事例や、郊外の低未利用地で営業する事例などがある。本研究では、37のFood Podの空間構成について、移動式食品販売車(以下MFU:Mobile Food Unit)の配置と営業方向を調査・分析し、Food Podを活用した都市づくりの可能性を考察した。Food Podは、MFU自体が持つ可動性や仮設性に加え、社会変化への柔軟性を備えていることが明らかになった。
次に、これらの調査で得た知見をもとに、Food Podを東京のような高密度な地域に導入するデザイン実験を行った。東京都国立市を対象に、1)段階的都市開発で生じるボイドの一時利用、2)低未利用地の利活用、3)屋外公共空間の賑わい創出を目的として3つの提案を行った。組換えの容易さや、集積による視認性の高さを活かし、戦略的にFood Podを展開することで、人々に屋外飲食の選択肢とサードプレイスを提供する。

作品イメージ

Profile

略歴

2020年 金沢工業大学 環境・建築学部 卒業
2023年 明治大学大学院 I-AUD 修了