第21回 JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展 2023

関咲帯

- コミュニティを育む集合住宅の設計提案 -
氏名
菊池快成
所属
明星大学大学院
理工学研究科 建築・建設工学専攻
研究室
村上晶子研究室
作品概要

本研究では「閾」という研究テーマのもと“人間の行動”という点に着目し研究を進めてきた。建築空間に対する人間の行動の変化や意識的な受けとり方はその空間におけるどの要素が影響しているのか。また閾の意識的な作用を有するという観点から心理学との関係性を調査し、建築空間への転用を図った。設計提案では集合住宅の私的性の高い住戸における従来の閉ざした性質を必要な要素として残しつつ、人と関わったり多様な生活を許容する開いた性質を加え、それらを意識的な境界である閾で緩やかに繋いだ。開くことと閉じることの選択により人々の関係性は刻々と変化し住民の生活の幅を広げるという案のプロトタイプとして設計に落とし込むことが出来た。住宅の変遷から「西洋化」が住まいのモデルの変化により家族の生活が変化したトリガーであったことから住まいの変化と人の生活の変化はお互いに強く影響し合うという示唆を得た。これが真であるならばコロナ禍という人の生活の多様化に対し、器である建築も多様に変化するべきであると考え、閾を用いることで多様に領域を変化させる住空間の提案を行った。建築家の意図ではなく住民の自由裁量で空間の性質を変化させることの出来る本設計は現代の閉じた箱としての建築にはない多様で豊かな空間になると共に、自分の求める距離感でのコミュニティの形成が可能であり地域コミュニティの希薄化という問題に対しても有用な提案であると考える。

作品イメージ

Profile

略歴

1999年 岩手県生まれ

2021年 明星大学 理工学部 総合理工学科 建築学系 卒業

2023年 明星大学大学院 理工学研究科建築・建設工学専攻 修了