記憶を継ぐ小径
- 東京における平和記念建築の再考 -- 氏名
- 兵頭璃季
- 所属
- 早稲田大学大学院
創造理工学研究科 建築学専攻 - 研究室
- 小林恵吾研究室(建築情報論研究室)
- 作品概要
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過去の戦災を学び平和を記念する建築はほとんどが戦後数十年の間に竣工し、その形態は一つの強い軸や塔、彫刻によるものや閉じた施設によるものが多い。戦後80年近く経ち、世界で再び戦争がおこる現代において、いまいちど過去の事実を学び現在・未来における平和を考えるための建築が必要である。本計画ではかつて陸軍学校の敷地であり数多くの戦争遺構が存在する都立戸山公園一帯に、周辺の歴史学習を介して平和を記念する建築(展示室・資料館を含む記念館)を設計する。陸軍学校射撃場の周囲に遺る流れ弾を防ぐために設けられた土塁・擁壁と、周囲に遺構が点在する箱根山といった土木的遺構の造形に着目し3ヶ所に設計を行った。設計手法として1道の設定(来館者とそれ以外両者)2遺構を身体的に体験する順路と高低差3遺構から引用した形態4遺構への視点場、を組み合わせることでそれぞれの遺構を日常的に知覚させる。来館者は、展示や遺構(過去)を閲覧するだけでなく、それぞれの建築で生まれる日常的な風景や道中の公園、町の様子を目にすることで日常的に現在、未来における平和像を思うきっかけをうむ。開発されうる土地を避け、その隙間を縫うように設計した道を辿って戸山公園周辺3箇所の記念館や点在する遺構を巡り、その土地の歴史を学ぶ行為が、東京における平和記念の一つの形になると考える。
Profile
略歴
1997年 愛媛県宇和島市生まれ
2016年 愛媛県立宇和島南中等教育学校 卒業
2021年 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 卒業
2023年 早稲田大学大学院 創造理工学研究科 建築学専攻 卒業