世田谷区役所(第一・第二庁舎)・区民会館は1959年~1962年に建築家・前川國男の設計で建てられました。
大きく張り出した庇が特徴的な、低層の区民会館に沿ってケヤキ並木を歩いてゆくと、自然の流れのように広場に導かれます。 振り返ると低層の区民会館のピロティの向こうに、歩いてきたケヤキ並木や通り沿いのまちの様子、そして中庭を囲むようにレイアウトされた区民会館のロビーや区庁舎への入口が見えます。 今から50年以上前、都市の中に市民の集える空間をイメージして創られたこのケヤキ広場と建築群は、2014年
DOCOMOMO JAPAN に認定されました。
日々、区民の活動拠点として使用されてきたこの広場は、親しみやすい風景として生活の中に溶け込んでいます。夏ともなれば木陰で憩う人、水際で昼食をとる人、水遊びに興じる子供たち、それを見守る大人達といった光景が展開され、秋にはケヤキ並木の美しい紅葉が目を楽しませてくれるなど、都市の中での貴重なオアシスの様相を呈しています。 既に、当たり前の日常のものとなっているこの光景は、設計者・前川國男が当初から公共的空間の理想像として描き、長い年月をかけて醸成され、実現されてきたものであり、活きた広場の価値を実感させる貴重な空間となっています。
JIA世田谷地域会はこの広場を世田谷区地域風景資産に推薦し、このほど(2014年)世田谷区により選定されました。
その後、この広場のさらなる活用を通じて、その魅力と価値を市民の皆さんに広く知っていただく為、新たな活動団体「世田谷区庁舎のケヤキ並木が作る広場の風景を愛する会」が結成され、区民の方々の参加を得て、現在活動を続けています。
黒木実建築研究室内 黒木実
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